リスクオン・リスクオフにおける基本と各通貨の値動きを把握しよう

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コロナショックから一転、6月は日経平均23,000円復帰。

ナスダックは史上最高値更新と、ショートカバーによりリスクオンマーケットとなりました。

さて、ここでニュースをみていると「リスクオン」や「リスクオフ」といった言葉がよく目に入ってきますが、これはどういう意味なのでしょうか。

また、「リスクオン」や「リスクオフ」の時には、金融市場はどのような動きをするのでしょうか。

最近の為替相場では、リスクオフ時の動きに少し変化が見られます。

この記事を読むと、 「リスクオン」や「リスクオフ」 の意味や、それに応じた各通貨の値動きを理解することができますよ。

リスクオン・リスクオフとは?

リスクオン・リスクオフとは?
  • リスクオン:株価が上がること(ドル安・円安になりやすい)
  • リスクオフ:株価が下がること(ドル高・円高になりやすい)

「リスクオン」とは、一般的にマーケットがより利回りの高いところを求めて、資金が流れている状態です。

一般的に、利回りの高い金融商品とは、株式なので、株式市場が堅調になることが、特長です。

反対に、債券などは利回りが固定されているため、リスクオンマーケットのような状態では、どうしても売られがちになります。

リスクオンとは、投資家はより高いリターンを求めて、キャピタルゲイン(値上がり)が見込める資産にお金を投じている状態なのです。

この時、外国為替市場では、どのようなことが起きるのでしょうか。

一般的に、リスクオン時は低金利である日本円は売られやすく、また米ドルも売られやすい、という傾向があります。

反対に、「リスクオフ」とは、マーケットがリスク回避のために資産を投げ売っている状態です。

基本的に、「リスクオフ」では「リスクオン」と真逆の動きが起こります。

そのため、株式市場は軟調になり、売られやすくなります。

この時、VIX指数なども急騰するのがリスクオフマーケットの特長です。

【参考記事】VIX指数とは

債券など株式より比較的安全資産であるものに、資金が流れ込む傾向があります。

特に、米国債などは買われる傾向が強いので、米国債の10年債利回りなどはチェックしておくと良いでしょう。

この時、外国為替市場では、日本円が買われたり、米ドルが買われる傾向があります。

「有事の円買い」などと、聞いたこともあるのではないでしょうか。

僕が相場をはじめてから10年近くになりますが、長い間外国為替市場ではリスクオフ時の円買いが機能していました。

しかし、コロナショックによってマーケットのルールが変わってしまった可能性があります。

コロナショックによって、「リスクオフ時は円買い」ではなく、「米ドル買い」となった可能性があるのです。

コロナショックによってリスクオフ時は米ドル買いになった

まず、次の図を見てください。2020年3月9日から2020年3月20日の各通貨毎の変動率を示したものです。

コロナショック時の為替変動率
コロナショック後の各通貨の変動率

これをみると、米ドルがすべての通貨に対して、強いという状態であることがわかります。

つまり、コロナショックのような想定外のリスクオフマーケットでは、実は米ドルが一番強かった、ということになります。

まずは、コロナショック時の株式市場のチャートをみてみましょう。

日経225とNYダウの日足チャートを添付します。

コロナショック日経225日足チャート
コロナショック時のNYダウ日足チャート

日経225もNYダウも、2020年3月23日に大底をつけていることがわかります。

外国為替市場ではどうでしょうか。米ドル円と豪ドル米ドルの日足チャートを見てみましょう。

コロナショック時の米ドル円日足チャート

日経225やNYダウと米ドル円のチャートには、相関性がみられませんが、豪ドル米ドルは非常に相関性が高い値動きをしていることがわかりますね。

これは、円買い需要よりも米ドル需要が大きかったために、米ドル円が下落せずに、上昇してしまったことがよくわかる日足チャートなのではないでしょうか。

米ドル円は2020年3月9日に大底をつけてから、株式市場の下落による米ドル需要の増加によって、大きく上昇していますね。これは株式市場の2020年3月23日の大底をつけたのとは、対称的な結果です。

上記のデータを見てわかるとおり、「リスクオフ時には円買い」は今回のコロナショックで変わった可能性があります。

株式市場の値動きをチェックすることはもちろんですが、これからは「リスクオフ時には米ドル買い」になるかもしれません。

コロナショック後の、各通貨の変動率を最後に見ておきましょう。

下記のデータは、2020年3月5日~6月5日のものです。

コロナショック後の各通貨の変動率
コロナショック後の各通貨変動率

2020年6月は、ナスダックが史上最高値更新と、マーケットのショートカバーも大いに発生した月でした。

一番売られていたオセアニア通貨である「豪ドル」のパフォーマンスが非常によいことがわかります。

もう一度、リスクオフ時に売られていた通貨のデータを見てみましょう。

コロナショック時の各通貨毎の変動率
コロナショック時の各通貨変動率

リスクオフからのショートカバー局面では、売られていたものが買い戻されるので、非常に納得のいくデータですね。

リスクオフ時によく売られていたのは、上記のデータを見てわかる通り豪ドルでした。

株式市場の上昇に伴い、振り返れば今月はショートカバーで豪ドルがよく上がった月でしたね。

逆にポンドはリスクオフ時は売られやすいものの、リスクオン時にも大して買い戻されるわけではなく、Brexit以降魅力のない通貨に成り下がってしまった印象を受けます。

このように株式市場が大きく動くと、買われやすい通貨・売られやすい通貨というものは確かに存在します。

こういったことを覚えておくと、次のリスクオフ・リスクオン局面で大きな利益を手にできるかもしれませんね。

リスクオン・リスクオフ時に売買すべき通貨まとめ
  • リスクオン(株価上昇時):豪ドル買い・円売り・米ドル売りになりやすい
  • リスクオフ(株価下落時):豪ドル売り・米ドル高になりやすい

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プロフィール

田畑 昇人(たばた しょうと)

FX歴10年以上の個人投資家。

東大院生が考えたスマートフォンFX」は、10万部以上売れるなど、FX書籍としては異例の大ヒット。

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