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FX取引をおこなう上で、避けられないのがクロス円を含む「合成通貨」への理解です。
基本的なことなので、FX取引をする際には、是非理解してほしい項目だったりします。
クロス円など対米ドル以外の通貨ペアをトレードする際には、絶対必要な知識です。
クロス円を含む「合成通貨」とはなんなのか?
まず、ポンド円(GBP/JPY)を考えてみましょう。
上記の図をみてわかる通り、ポンド円(GBP/JPY)はポンドドル(GBP/USD)とドル円(USD/JPY)を合成したものになります。
実際のレートで考えてみましょう。
ポンドドル(GBP/USD)のレートが1.35だとして、ドル円(USD/JPY)のレートが100だった場合、ポンド円(GBP/JPY)のレートはどうなるのでしょう。
ポンド円(GBP/JPY)のレートは、ポンドドル(GBP/USD)とドル円(USD/JPY)の掛け算になるので、1.35×100=135という風になります。
つまり、1ポンドあたり135円という計算になるのです。
外国為替市場では、基本的な取引は米ドル建てでおこなわれることが多く、米ドル建ての通貨ペアを「ドルストレート」なんて呼んだりします。
参考までに、国際的なFX取引高調査によると、米ドルを介した取引が全体の中でも大きなボリュームを占めていることがわかります。
次の表に2016年と2019年の各通貨ごとの取引高を%でまとめました。
通貨 | 2016 | 2019 |
---|---|---|
USD/EUR | 23.1 | 24.0 |
USD/JPY | 17.8 | 13.2 |
USD/GBP | 9.3 | 9.6 |
USD/EME | 17.1 | 20.2 |
USD/AUD | 5.2 | 5.4 |
USD/CAD | 4.3 | 4.4 |
USD/CNY | 3.8 | 4.1 |
USD/CHF | 3.6 | 3.5 |
USD/HKD | 1.5 | 3.3 |
USD/KRW | 1.5 | 1.9 |
USD/INR | 1.1 | 1.7 |
USD/SGD | 1.6 | 1.7 |
USD/NZD | 1.5 | 1.6 |
EUR/GBP | 2.0 | 2.0 |
EUR/JPY | 1.6 | 1.7 |
EUR/CHF | 0.9 | 1.1 |
ユーロ円(EUR/JPY)ですら、取引高全体の1.7%しかなく、豪ドル円(AUD/JPY)やポンド円(GBP/JPY)に至っては上記のグラフにすら載っていません。
つまり、外国為替市場においてクロス円という通貨ペアは、実はマイナーな存在であることがわかります。
合成通貨のトレードをするにあたって注意すべきこと
合成通貨ペアであるクロス円は、外国為替市場でほとんど取引されていないことがわかりました。
さて、合成通貨を取引する際に注意すべきことはなんでしょうか。
それは、「トレード対象となる通貨ペアのドルストレート」を確認することです。
直近だと、英国総選挙への期待でポンドが大きく買われましたね。
実際のポンドドル(GBP/USD)の日足を見てください。
これをみると、12/4にポンドドル(GBP/USD)は大きく日足直近高値1.30を超えて、大きく上昇していることがわかると思います。
ポンドの取引は、米ドル建てが一番多いですから、ポンドドル(GBP/USD)の上昇トレンドによって、他のポンドクロスであるポンド絡みの通貨ペアも大きくポンド買いのフローが起きると考えられます。
実際に、ポンドの取引が二番目に多いとされるユーロポンド(EUR/GBP)のチャートもみてみましょう。
日足の直近安値0.85を大きくブレイクして、ポンド買いのフローが起きていることがわかります。
つまり、このようなドルストレートで日足の直近高値・安値を大きくブレイクアウトすると、他の通貨ペアも大きく影響を受けることがわかると思います。
ポンド円についても12月4日以降、大きな上昇トレンドになっています。
このように、クロス円の取引をおこなう場合にも、ドルストレートに大きく影響を受けていますね。
つまり、クロス円自体のチャートをみるのは必要なんですが、そのクロス円は合成通貨なので、元となるドルストレートをきちんと確認しておきましょう。
合成通貨ペアを取引する際には、特にドルストレートのチャートと日足の直近高値・安値は頭に入れておきましょう。
ドルストレートが大きく動いているときは、その通貨ペアでの安易な逆張りは危険だともいえます。
参考までに、クロス円を取引する際に各ドルストレートがどのような状態だと、そのクロス円がどうなるかを表にしました。
クロス円を含む合成通貨のトレードをおこなう際には、これを機にドルストレートの通貨ペアの状態をチェックしてみてください。
「合成通貨」のテクニカル分析が意味を成さないわけ
ここまで、ドルストレートの通貨ペアが実際の取引高も大きく、市場に与える影響も大きいことが確認できました。
さて、ここまで読み進めたらある疑問が湧くはずです。
「あれ、クロス円って実はほとんど誰も取引してないんじゃ…?」
実際上記のデータからみると、その通りであることがわかります。
クロス円を含む、取引高の少ない通貨ペアにテクニカル分析を持ち込むことに意味はあるのでしょうか?
だって、あなたが取引しようとしているクロス円は市場で誰も注目していなくて、あなたが頑張って引いたトレンドラインなんて誰もみていない可能性があるんですよ。
事実、データとして取引高がほとんどないわけですから…。
結局、クロス円なんていうものはドルストレートにつられて動くだけであって、それ単体でトレードしている人は市場にほとんどいないと思っていいでしょう。
以上、「合成通貨を取引するのなら、もっとドルストレートに注目しようね!」というお話でした。