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VIX指数が上昇すると、株式市場ではボラティリティが上昇します。
株式市場でボラティリティが増加するということは、外国為替市場にも少なからず、その影響は及びます。
今回は、そのリスクオフ時に何故ボラティリティは上昇するのか、といったことを考えてみたいと思います。
世界の資産運用は基本的に株式市場で行われる
世界には、様々な投資需要が存在します。
我が国ではGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、160兆円もの資金を運用しているなど、世界的に運用しなければならないお金は存在しています。
これらは、株式市場において明確な買い圧力であり、実需ともいえるでしょう。
そのため、一般的にリスクオフ局面というのは、「信用取引によるポジションの解消」や「投資初心者の狼狽売り」などによって、一時的に起こるケースが多く、長続きしにくいのはこのためです。
「株式市場には基本的に買い圧力が働くものだ」という認識はしておきましょう。
特に今は、世界各国金融緩和で株式市場にとってはポジティブです。
そのため、「長期でのショートポジション」というものはリスクリワードが悪く、あまりおすすめできませんね。
- 年金など運用しなければいけない資金の買い需要が存在
- 長期でのショートポジションはリスクリワードが合わない
リスクオフ時には資産の投げ売りが行われる
最近インデックス投資などが流行っていますが、これは市場に対して万遍なく投資をおこない、市場平均リターンを目指す、というものです。
さて、皆さんはインデックス投資をしていたらこう思いませんか?
「いざとなったらショートポジションをとってリスクヘッジさえすれば」という考え方は、基本的に買いから入るインデックス投資をやっている方にとっては、誰しもが思い浮かぶ戦略ですよね。
誰もが相場下落時(リスクオフ)に損失が増えるのは、黙って見ていたくないですから。
しかし、この戦略は市場に対して、ひどく甘えています。
みんなが市場の成長にベットしてインデックス投資をすればするほど、下落時にヘッジしたいプレイヤーの数は増えると思われるので、結果的にボラティリティの増加が助長される、ということになります。
これが近年VIXショックやコロナショックを引き起こしている原因の1つではないでしょうか。
クオンツの作成する統計モデルは想定外に弱い
また、金融の世界でも技術の進歩は目まぐるしく、証券会社やファンドでも数学の博士号を取得しているような人材は、高給にて採用が行われていて、各社人材不足だと聞きます。
このように、数学を駆使して金融の世界で予測モデルを作る人を「クオンツ」などといいます。
さて、クオンツが作るような予測モデルなどは、基本的に99.99%大丈夫だ、という前提で設計されます。
これはどういうことかというと、0.001%の確率で大損してしまう、ということになります。
つまり、予測モデルを構築して効率的な運用を目指すほど、想定外の事態に対応できない、ということを意味します。
これは、地震の際の防波堤に例えれば、話はわかりやすいでしょう。
東日本大震災では、多くの街が津波に飲み込まれました。
防波堤を作っていたとしても、想定外の大きな地震には対応できなかったのです。
仮に、どんな津波にも耐えうる高さと強度の防波堤を作ると、コストが大きくかかってしまうことがわかると思います。
これを金融の世界に置き換えると、どんな事態にも想定するモデルを作ると、そもそもそれは机上の空論であるばかりか、リターンを望むのも難しい、といったことになってしまいますね。
実はこの構造を考えていくと、普段投資ではなく投機を行っているプレイヤーは、VIX指数上昇局面によるボラティリティの増加局面では有利なのです。
ボラティリティの増加は非合理な投資行動を誘発する
人間には損失回避の本能が備わっていて、「損をしたくない」という感情は時に人を非合理的な行動に誘ってしまいます。
これは、「プロスペクト理論」などでも証明されていて、「損失が増えると損切りができない」などというのは、皆さんも体験したことがあるのではないでしょうか。
一般的に下落相場の方が値動き(ボラティリティ)が大きいのは、この損失回避行動が働くためです。
さて、ボラティリティの増加局面では、「損失を防ぐためにレートを気にせずヘッジを急いで行う」「証拠金ぎりぎりまで耐えて最終的に追証でポジションをすべて投げ出す」など、非合理な投資行動が数多く誘発されると考えられます。
これは短期トレードをされる方にとって、チャンスでしょう。
非合理的な投資行動をする人が多ければ多いほど、それだけ短期トレードでは収益機会を望めるからです。
インデックス投資やクオンツに裏付けされた投資を行えば行う人が増えるほど、ボラティリティは突然急上昇する可能性が高くなりますね。
市場の資金がみんな投資にまわり、買いたい人が全員買ってしまったら、もう後は売り手しか残っていないのです。
「損をしたくない」と思って選んだ投資法が、実は想定外の事態に弱い諸刃の剣だなんて、可能性もあるわけですね。
近年はボラティリティのないマーケットが続いてきましたが、ボラティリティの増加に備えてきたFXプレイヤーにとっては、今後数年はいい年になるでしょう。
投資ブームの裏には、こういったボラティリティの増加するケースが多発すると考えられるからです。
「人の行く裏に道あり花の山」とはよく言ったものですね。