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目次
FXを含め、いろいろな金融商品では、ローソク足を基本としたテクニカル分析が使われています。
ダブルボトムやトリプルトップ(三尊)など、基本的なパターンはもちろん把握しています。
FXにおいてチャートパターンや値動きの癖を覚えることは、果たして有効なのでしょうか。
あくまでも個人的な考えを、述べてみたいと思います。
画面の向こう側にいるのはだれ?
注文画面を通して、僕たちは好きな時に外貨を売ったり買ったりできます。
外国為替市場は、流動性が豊富なので、ほとんどの場合、成行注文でオーダーを約定させることが可能です。
いつでも売ったり買ったりできる、ということは、その逆で「買ったり売ったりできるオーダーを出してくれている人」が、画面の向こう側にいるわけなんですね。
このように、板を出してくれているマーケットメイカーの存在を考えなくてなりません。
実はFXにおいて各業者ごとにカバー先があり、日本の多くのFX会社も利用している「LMAX」というリクイディティプロバイダーの中を覗いてみましょう。
当然ながらFXはゼロサムゲームといわれるように、誰かが勝てば誰かが負けます。
FXは板がみえない場合がほとんどなので、指値や逆指値などオーダーを置かずに、成行で注文するプレイヤーが多いと思います。
いつでも成行注文でポジションを約定させられる、ということは、むやみやたらに注文をすると、スプレッド分だけ負ける、ということを意味します。
最良気配値を提示してくれるマーケットメイカーも負けたくないので、当然ですね。
流動性を提供してくれる、画面の向こう側にいるプレイヤーのことを考えると、外国為替市場はこのような構造になっています。
さて、こういった流動性を常に出し続けてくれるプレイヤーは人間なのでしょうか。
もちろん違いますよね、今の時代はアルゴリズムが相手になるわけです。
アルゴリズムを出し抜くトレードを考えてみよう
相手とする市場が、「アルゴリズムで、高度に洗練されたマーケット」であるということは理解できました。
ここで、アルゴリズムをどうすれば上回り、彼らを打ち負かすことができるのか、ということを考えてみましょう。
まず、1つは「超短期取引をやめて、ポジション保有の時間軸を伸ばす」ということが考えられます。
超短期取引だと、「コンピューターを使ったアルゴリズムに人間が勝つのは、難しい!」なんて想像ができたりしますね。
瞬きする間に、何百回も取引されては、なかなか勝つのは難しそうです。
もう1つは、「マーケットメイカーが多くの在庫を抱えている場面を狙いうちする」なんてことが考えられます。
これが、外国為替相場で起こるストップロスの発生の理由とも考えられます。
とあるレートを超えたら、値動きが加速する場面がありますよね。
そういった相手のポジション状況がわかっていれば、彼らを打ち負かすようなポジションを建てれば優位に立てそうです。
最後に、これはコロナショックでも明らかになりましたが、「マーケットメイカーのいない場面で取引を行う」ということです。
コロナショックの時、ボラティリティの増加とともに、レートの提供をやめてしまったリクイディティプロバイダーもありました。
流動性が薄いので、板が全然でていなくて、多少の注文でも為替レートが大きく動いてしまうのです。
それだけ流動性がない状況(板がない状況)では、そもそもアルゴリズムがいない対人間相手のマーケットになっていると考えられるので、自分より弱いトレーダーがいれば、出し抜くのは普段より難しいことではないでしょう。
- ポジション保有を伸ばしてみよう
- ストップロスを狙ってみよう
- マーケットメイカーのいない場面で勝負しよう
チャートパターン「だけ」で勝てるなら、自動売買でよくない?
外国為替市場においても、ローソク足を使った「テクニカル分析」が使われることが多いです。
三尊(トリプルトップ)やダブルボトムなど、基本的なチャートパターンは自分自身ももちろん把握していますが、あまり取引の参考にしていません。
なぜかというと、チャートパターンだけで仮に勝てるロジックがあるのなら、それもう自動売買でよくないですか?
テクニカル分析というのは、数字を扱うので、とあるインジケーターがこうなった時とか、こういったパターンの時にエントリーすると期待値が高いというのがわかっていれば、事前にプログラミングして、その通りに取引すればよいのです。
仮にチャートパターンやトレンドラインだけで勝てる、というのならすごいことです。
なぜかというと、こういったパターン分析はコンピューターの得意分野で、人間が勝る部分が見いだせないからです。
コンピューターが、過去のチャートパターンを365日24時間無限にテストできるのに対し、人間はそのようなことができません。
これでは、取引相手に対して全く優位性が見い出せませんね。
前述したように、「どうアルゴリズムを出し抜くのか」という問題に突き当たってしまいます。
値動きの癖はトレードの役に立つか
株式市場と外国為替市場では、その値動きはまったく異なってきます。
株式市場の場合を考えてみる
まず、10名しか取引していない銘柄で、その残り9名の取引の癖を分析したとしましょう。
「アイツはきりのいいレートでよく利確してくる」
「あの人は一回で買う量がとにかく多いんだ」
こういった情報は取引の役に立ちますね。
少ない人数でプレイしていると、そういった取引参加者の癖は値動きに現れてしまうものです。
外国為替市場の場合を考えてみる
では、外国為替市場はどうでしょうか。
参加者の数は、全世界のプレイヤーです。ここで、プレイヤーの数を100万人と仮定しましょう。
まず、100万人の特徴を人間は覚えることができません。
100万人でプレイしているゲームで、一人一人の参加者の特徴を覚えたとしても、それは市場に全く反映されません。
一人一人のボリュームでは、外国為替市場は流動性が豊富で、なかなか市場は動かないからです。
「ドイツ銀行が、大量のユーロ円ロングを抱えて困っているらしいぜ」
みたいな情報は、役に立ちますが、参加者10人の場合と比べて、その情報の優位性は著しく低下することがよくわかると思います。
つまり、値動きの癖というものは、外国為替市場は参加者人数が多数いるため、大口のオーダーなども読みづらいし、あてにならないというのが正解に近いと思われます。
チャートパターンなんて言葉に惑わされないで
視覚的に便利がゆえに、よく使われることの多いテクニカル分析ですが、チャートパターンという言葉は人を惹きつけるようです。
人間という生き物は、どうしてもパターン認識が得意で、無意識にパターンを探してしまいます。
コロナショック以降では、二番底というチャートが形成されると思い込み、多くのショーターが散っていっていったのは記憶に新しいでしょう。
結論というと、チャートパターンは、あくまでも投資の参考にするのはいいですが、絶対的な投資判断には全くと言っていいほど、役に立たないと思っています。
投資は、人生の縮図のようなものでで楽しいものです。
1日にして、大金を稼げるときもあれば、うまくいかない日も続いたり。
外国為替市場においてのアルゴリズムに関しては、日本銀行からレポートが出ていたので、参考にどうぞ。
→外国為替市場におけるアルゴリズム取引の概要と 市場流動性に与える影響
それでは。