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FXでトレードをする際には、みなさん色々なインジケーターを使われていることと思います。
その中でも、最もよく使われているのは、移動平均線のはずです。
しかし、移動平均線は単純なインジケーターゆえによく使われますが、欠点もあります。
移動平均線は、各時間の終値を結んで作られるので、出来高や約定価格が考慮されていません。
一体これは、どういうことでしょうか?
この記事を読み進めていくとわかるはずです(所要時間:3分程度)
移動平均線だとどんな問題が起きるか
FXというものは、外貨を取引する金融商品なので、ある特定の時間に出来高が大きくなる傾向があります。
例えば、東京・ロンドン・ニューヨークの各市場開始から1時間~1時間半程度が出来高が大きく、値動きも比較的大きくなりやすい傾向があります。
これは、各市場の株式市場のはじまりとともに、投機的な資金が多く入るため、このような現象になると考えられます。
つまり、その日の各トレーダーのポジション状況を考えた時に、24時間各市場で均等に出来高があるわけではありません。
そのため移動平均線だけでは、その日どのようなポジションが構築されて、どのプレイヤーが捕まっているか、を把握することは難しい、ということになります。
少し話が難しくなってしまいましたね。具体例を考えてみましょう。
- 21時 約定レート 米ドル円 100 出来高 100
- 22時 約定レート 米ドル円 101.5 出来高 100
- 23時 約定レート 米ドル円 102 出来高 800
この3時間の移動平均をとった場合、(100+101.5+102)/ 3 = 101.5 という値が出てきますね。
しかし、実際は23時の102円というレートでほとんど約定していますから、実際にポジションを持っているプレイヤーは、102円付近が建値である、というのが正解になります。
これを計算するのが、VWAP(Volume Weighted Average Price)といわれるものです。
日本語に直すと、「出来高加重平均価格」といわれ、一般的に「ブイワップ」と呼ばれています。
さて、ここでVWAPを実際に計算してみましょう。
- 21時 約定レート 米ドル円 100 出来高 100
- 22時 約定レート 米ドル円 101.5 出来高 100
- 23時 約定レート 米ドル円 102 出来高 800
先ほどの例をもう一度出します。
この3時間の平均約定価格を出してみましょう。
100 × 100 / (100 + 100 + 800) + 101.5 × 100 / (100 + 100 + 800) + 102 × 800 / (100 + 100 + 800) = 101.75
より実際の市場のプレイヤーの状況を表している数字が出てきましたね。
移動平均線の場合、101.5だった場合に比べ、VWAPを算出すると101.75と、より102円に近い数字になりました。
このVWAPを計算することで、移動平均線だけではわからなかった「よりリアルな市場の状況」がわかります。
移動平均線だと、レートを均等に平均しているだけなので、市場の状況を反映するのにどうしても時間がかかります。
特に、人気の5移動平均線(5MA)や25移動平均線(25MA)などでは、出来高が急増した場合に約定価格に移動平均線が追いつくまでそれなりの時間がかかってしまいますね。
主要な移動平均線は一通りみていますが、移動平均線を絶対視していては、「テクニカル分析の罠」にはまってしまうような気がしています。
VWAPをどうトレードに使うか
VWAPはその日のトレーダーの平均約定価格を示すものなので、これをどうトレードに活かすかを考えてみましょう。
例えば、雇用統計の日にVWAPが米ドル円で101.75だったとします。
翌日に101.75を大きく下回ることがあれば、「雇用統計の日に焦って上を買っていったプレイヤーが全員含み損だな。じゃあ一旦このロングしてる人をふるい落とすかな、と思いショートを入れる」などの戦略をとることができます。
トレンドフォロー戦略をとる場合、VWAPは以下のように使うことができます。
- 日足が上向き→VWAPを下回る→有利なレートでロングすることが可能
- 日足が下向き→VWAPを上回る→有利なレートでショートすることが可能
相場にポジティブな材料がでたのに、一度あげてVWAPを大きく下回ってきたら損切り、など損切りにも用いることができます。
日足方向に対して、VWAPを使いより有利なレートでポジションを建てることで、トレンドフォローにおけるトレードの期待値を大きくすることができます。
使い方次第で、テクニカル分析だけではみえなかったレートがみえるため、短期取引の際にも、VWAPは1つ参考になる指標になるかもしれません。
FOMCやECBなど、主要な経済指標があった日のドルストレートの通貨ペアVWAPは記録しておき、その後数日間ボラティリティが出た際には、トレードの参考にしています。
VWAPをどう計算するか(インジケーターの紹介)
このように便利なVWAPですが、なかなか日本のFX会社ではインジケーターとして採用されていないため、見ることができません。
当サイトではMT5を使用して、VWAPを計算する方法をご紹介します。
「MT5_PriceLabel」というインジケーターを使うと、簡単にVWAPを表示させることができます。
これは当サイトで自作したもので、証券会社のティックボリュームを用いて、計算を行います。
下の画像は、米ドル円の日足チャートにVWAPを表示させたものです(赤枠の数字がVWAP)
6月29日(前日)の平均約定価格(VWAP)が107.385で、6月30日(当日)の平均約定価格(VWAP)が107.679になります。
上記のインジケーターでは1分毎の計算でVWAPを表示しています。
証券会社ごとによってティックボリュームやレートは少しずつ変わってきますので、それに伴いMT5で表示するVWAPも証券会社を変えると少し違うレートになります。
このインジケーターで計算されるVWAPはあくまでも絶対的なものではなく、補助的なものとしてお使いください。
FXは相対取引なので、正確なVWAPを算出することは不可能であり、参考程度に留めておくべきだと思っています。
さて、VWAPをチャートに表示する方法は。以下のようになっています。
インジケーターを入れた後に「MT5_PriceLabel」のプロパティから、「当日のVWAPを表示するか」「前日のVWAPを表示するか」を「true」にします。
これで、チャートの右側にVWAPが表示されるはずです。当日分のVWAPだけ表示したければ、「前日のVWAPを表示するか」の部分を「false」にしてみてください。
MT5のインジケーターの入れ方については、以下の記事を参考にしてみてください。
他に便利なMT5インジケーターも、いくつか紹介しています。
なお、本インジケーター「PriceLabel」の開発はbonta( @arx6 )さんによって行われました。
VWAPを使うともっとトレードが面白くなる
前日・当日のVWAPを追うことで、対象通貨の直近のポジション状況を把握することができます。
テクニカル分析もいいですが、デイトレードを含む短期のトレードにおいては、他のトレーダーの約定価格を知っておくことは、トレードを有利に進めるうえで、大切だと思います。
チャートに線を引っ張るだけのテクニカル分析では、他のトレーダーのポジション状況をより正確に把握することは困難です。
VWAPを使用した、他のトレーダーのポジション状況を考えつつ、詰め将棋のように相手を追い詰めていくトレードもまた面白いですよ。
MT5インジケーターダウンロードの注意点
当インジケーターを使用したことによる、不具合やまたそれに伴う金銭的損失など、一切責任を負いません。
また、当ブログラムの無断二次配布、コードの改変はお控えください。
サロンやnoteなどの商用利用にて、当インジケーターの使用を行うことは認めません。
商用利用をしている場合を見つけ次第、法的措置を取る可能性もあります。
本インジケーターは数々の方のご厚意によって、無償で利用できるものです。
基本的な質問などは各自控え、本インジケーター開発者などに迷惑をかけないようにお願いいたします。
また、今後アップデートなどの予定も基本ありません。
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