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ドル円の上値が抑えられやすい2つの理由
2016年、今年は円高な一年になりそうです。
年始から随分と円高が進行しましたね。
さて、実際に取引をするとわかりますが、ドル円は上がりにくく下がりやすいです。
これはなぜでしょう??
これにはいくつか理由がありますが、今日は主要なものを2つ紹介したいと思います。
1. 日本は経常黒字国・アメリカは世界最大の経常赤字国
経常収支とは、海外とのモノ・サービスの取引や投資の状況などを表す数字です。
* 経常収支 = 貿易収支 + サービス収支 + 所得収支
貿易収支はモノの取引で、サービスはモノ以外の取引です。
では、ここでいうモノとは税関を通るかどうかの違いです。
例えば、車を海外に輸出して、外貨で代金を受け取ったら、それは貿易収支がプラスなので、経常収支にもプラスに作用します。
そして、ここでいう所得収支は、海外から得た利子や配当のことです。
貿易収支、サービス収支、所得収支の合計を、経常収支と言います。
ここで、日本の経常収支を見てみましょう。
「日本はやばい」なんて言われていますが、海外からお金を稼いでいる優秀な国なのです。
「数年ぶりに貿易収支が赤字に転落した」なんてニュースで取り上げられていますが、実は経常収支は黒字なのです。
では、2016年現在日本の経常収支は世界でどれくらいなのでしょうか。
なんとびっくり!!
日本は世界の中で、3位の経常収支を叩き出しているのです!!
それに対して、アメリカはどうでしょうか?
実はアメリカが世界各国の中で、最大の経常収支赤字国なのです。
日本は海外からお金を得ている、ということはどうなるのでしょうか。
外貨を稼いでも、企業は従業員に給料を払ったりだとかをしなくてはいけませんよね?
そう、経常収支の大きさは「その国の通貨の潜在的な買い圧力」になるのです。
つまり、経常収支世界3位の日本の円は、もともと買われやすい通貨であることがわかります。
円が買われるのに、理由はいらないのです。
対して、世界最大の経常収支赤字であるドルは、構造上売られやすいことがわかります。
ドルが売られるのに、理由はいらないのです。
これが、ドル円の上値が抑えられやすい理由の1つです。
2. ドル円は社内レートによる輸出勢の売りが多数存在する
外貨で代金を受け取った日本企業は、最終的に円に換えなくてはいけません。
ここで今年の主な輸出企業の想定社内レートを見てみましょう。
これを見ると、ドル円は115円以下で売り圧力が相当強いことがわかります。
日本企業の特徴の1つとして、「社内レートを超えると、ばんばん売ってくる」というものがあります。
これはなぜでしょうか??
これは日本企業と外資系企業の給与体系が関係しています。
例えば、社内レートが115円だったとしましょう。
外資系企業の場合、ドル円が上昇トレンドで115円よりも高く売れると思えば、為替の担当者は売ってこない可能性があります。
それは、社内レートよりもいいレートで為替をカバーできた場合、ボーナスが多額に支給される可能性があるからです。
それに対し、日本企業はどうでしょうか。
一般的に、社内レートよりいい値段でカバーしても、ボーナスというインセンティブは外資に比べてありません。
もし、115円を超えていた時期があるのに、115円で売れなかったとなれば、為替の担当者は怒られてしまいます。
日本企業では、社内レートを大きく超えてドル円を売るインセンティブが、社員にはほとんどないのです。
これでは、社内レートを超えたら、輸出企業はばんばんドル円を売ってきますね。
なので、ドル円を取引する場合には、この社内レートを頭に入れておくといいかもしれません。
これがドル円の上値が抑えられやすい2つの理由です。