為替相場の変動と経済の関係
グローバル化した現代社会において、為替相場の変動と各国の経済は切っても切れない関係にあります。
為替相場が変動すると、各国の企業の業績も大きく変わってきます。
それは、現代社会が世界規模で経済が動いていて、輸出・輸入など他国との関わりが不可欠だからです。
今回は、自動車会社を例にとって考えてみましょう。
身近な例で説明するので、初心者の方も安心してくださいね。
自動車会社の場合
例えば、自動車一台を製造するのに、100万円かかるとしましょう。
この会社は国内で自動車を製造して、アメリカに自動車を輸出しているとします。
そして、この自動車がアメリカで2万ドルで売れるとしましょう。
為替レートの変動によって、この自動車会社の業績はどうなるのでしょうか?
一緒に考えてみましょう。
・1ドル=100円の場合
日本円に直すと200万円(2万ドル×100円)で売れることが分かります。
この場合、自動車を一台作るのにコストは100万円かかったので、利益は以下の通りです。
売上200万円ー製造コスト100万円=利益100万円
答え:自動車一台あたりの利益は100万円
・1ドル=80円の場合
1ドル=100円から、1ドル=80円の円高になった場合、輸出企業の業績はどうなるのでしょうか?
自動車を一台作るコストは変わりません。
それは日本国内で製造するからです。
アメリカでは、自動車一台2万ドルで売れるんでしたね。
この場合、2万ドルの価値を日本円になおしてみましょう。
2万ドルを日本円に換算すると、2万ドル×1ドル80円=160万円。
1ドル100円の時より、自動車1台あたりの売上げが40万円も少なくなってしまいましたね。
それでは利益はどうでしょうか?
自動車を一台作るのにコストは100万円かかったので、利益は以下の通りです。
売上160万円ー製造コスト100万円=利益60万円
もうわかりましたね。
そう、円高になると輸出企業の利益は圧迫されてしまうのです。
だから輸出企業の株価は下がってしまうのですね。
答え:自動車一台あたりの利益は60万円
・1ドル=120円の場合
1ドル=100円から、1ドル=120円の円安になった場合、輸出企業の業績はどうなるのでしょうか?
自動車を一台作るコストは変わりません。
それは日本国内で製造するからです。
アメリカでは、自動車一台2万ドルで売れるんでしたね。
この場合、2万ドルの価値を日本円になおしてみましょう。
2万ドルを日本円に換算すると、2万ドル×1ドル120円=240万円。
1ドル100円の時より、自動車1台あたりの売上げが40万円も多くなりました。
それでは利益はどうでしょうか?
自動車を一台作るのにコストは100万円かかったので、利益は以下の通りです。
売上240万円ー製造コスト100万円=利益140万円
もうわかりましたね。
そう、円安になると輸出企業の利益は大きくなるのです。
だから、輸出企業の株価は上がります。
答え:自動車一台あたりの利益は140万円
円高は日本にとって悪なのか?
円高は、輸出業者にとって悪だと言う事は分かりました。
ですが、輸入業者にとってはどうでしょうか?
例えば、1ドル=100円の時に外国から石油を買うとしましょう。
石油が1リットル=1ドルの時に、石油を1リットル買うのに支払う金額は100円です。
1ドル=80円になるとどうでしょうか?
石油が1リットル=1ドルの時に、石油を1リットル買うのに支払う金額は80円になります。
そう円高になると、外国からモノを安く買えるのです!!
日本は資源が少なく、外国から資源を輸入している国です。
よって、円高=悪ではなく、状況に応じていい事も悪い事もあるんですね。
特に今は原子力への反対が高まって、火力発電の比重が高まっています。
化石燃料の輸入量が増えるというところから考えると、円高もいいことですよね。
円高・円安などは自分達の立ち位置によってどちらが得か変わってきます。
ニュースをみてこういったこともすぐ考えられるようになりたいですね。