【書評】金融マーケット集中講義

金融マーケット集中講義

[改訂新版]藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 (光文社新書)
藤巻 健史
光文社 (2012-03-16)
売り上げランキング: 12,911

「伝説のディーラー」が書いた「伝説の教科書」の改訂新版! 「この本は、人から聞いたことや、他人の書いたものをまとめたもの ではありません。私自身の経験から「金融市場で生きて行くには、これだけの知識が必要だ、資産運用をするつもりならこれだけの知識は 必要だ」と思ったことだけを書きました。逆に言えば余計なことは書 いてありません。個人投資家の方にもわかりやすく書いたつもりです。 是非、この本を読んで、今後の不透明な時代を乗り切る術を得ていた だければ、と思います」(改訂新版 まえがきより) 為替の基本から、先物、スワップ、オプションなどデリバティブまで。 ビジネスマンはもちろん、個人投資家の資産運用にも、本当に使える 金融知識を、「伝説のディーラー」が実践的に伝授。 発売以来、金融マンの新入社員向けとして、また専門誌の記者にも好 評を博してきたロングセラーが、ほぼ10年ぶりにデータを刷新、最新 情勢も盛り込んだ改訂版として登場!

ディーラーが書いた。金融について基礎的な素養をまとめた本。

初心者には少し難しいかもしれませんが、とっても分かりやすく、ためになります。

新書の割には、ボリュームが多いですが、マーケットを理解するには必読の書だと思います。

初心者レベルの本が物足りなくなった方におすすめ。

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印象に残ったこと

・金利差が開くとドルが買われる

日米の金利差が開くとドルが買われる。
金利差が開くと、ドル資産の方が金利で儲かる。

金利で多く儲かるということは為替で損をしてもいい。
先物のブレイクイーブンポイントがグッと下がる。

 

・長期で見れば為替は国力の反映

1.金利差
日米の金利差が開くとドルの買い要因となる。
金利差が開くと、先物レートが下がる。
そうすると、トレーディングで儲かるチャンスが大きくなる。

 

2.国際収支
国際収支とは、モノとサービスの黒字幅である。
これも為替への影響が大きい。

国際収支の黒字幅が大きいと輸出によって儲かっている。
となると、代金は外貨で受け取るためドル売り圧力が増加する。
その結果ドルが下がる。

すなわち「モノとサービスの黒字」が大きくなればなるほどドルが売られやすくなる(円高)。
逆に黒字幅が減ってくると、ドル売り圧力が減っていくため、円安になりやすい。



3.社内レート
社内レートとは、輸出企業がドルやユーロを円に変える際に目標としている為替レートの事。

社内のレートがドル円が80円だとすると、社内の為替担当者は、80円になるとドルを売ろうとする。
日本の企業は、社内レートが80円と決まると80円を少し超えてくるとどんどんドルを売ってくる。
これが欧米の為替担当者だと、100円までドルが上昇すると思ったら、90円になっても95円になっても売らない可能性がある。
何故かというと、これは日米の評価システムの違いによる。
欧米では、社内レートが80円のところを100円で売れたら、「為替の担当者、よくやったぞ」ということでボーナスがでる。

 

しかし、日本の場合、社内レートが80円だったのに78円でしか売れなかった。
それも、この一年間ずっと80円を下回っていたのならまだしも、80円を上回っていた時期があったのに78でしか売れなかった。

そうなると、「為替の担当者、お前何やっていたんだ。社内レート80円なんだぞ。80円を超した時が何度もあったじゃないか。なんで78円でしか売れなかった」って怒られてしまう。
ちゃんと予算通り80円以上で売れば、「お前はやるべき仕事をした」という話になる。

「社内レートが80円だったのに、何故78円でしか売れなかったのだ」「実は100円まで上がると思って待っていたら、78円になってしまいました」という事は通用しないのである。
「お前何をやっているんだ。別に100円で売ったところでボーナスがでるわけじゃないんだぞ」という事になってしまう。

このような日本企業の人事評価システムでは80円を超えた段階でドル売りがどんどん出てくるわけです。

 

為替の担当者個人にとってみると、社内レートの80円ちょっと上の時に売らないのは「ハイリスク・ローリターン」になってしまうからである。

社内レートでは、売り圧力が相当あって、その天井を抜けるのにエネルギーがかなり必要である事が分かります。
逆に言うと、その天井を超すと売り圧力がなくなって円安に一気に振れる可能性がある。

 

補足:国際収支でモノの収支だけを発表するのは自虐的行為

国際収支に出てくる項目は色々あります。
モノとサービス収支、所得収支、経常移転収支、資本収支、それから外貨準備の増減などです。

学者になるならともかくとして、皆さんであれば三つの項目だけ覚えて下さい。
モノとサービスの収支、所得収支、そして資本収支です。

 

まず覚えておいて欲しいのが、国際収支は経常収支と資本収支に分かれます。
そして、経常収支の中にモノ+サービスと、所得収支がある。
とりあえずこれだけ覚えて下さい。

モノ+サービスの収支というのは、サラリーマンでいうと、給料とかボーナス。
給料とボーナスが貯まれば海外投資をする.
アメリカの株を買うとか、アメリカの債券を買うとかです。
これが資本収支で海外投資をすればマイナスになります。

それから所得収支。
これは海外投資から得られる利息とか、配当のことです。

モノとサービスの違いは何なのか。
これは税関を通るか、通らないかだけの差なのである。
モノは税関を通るがサービスは税関を通らない。
新聞などでよく見かける貿易黒字とはモノだけの収支である。

 

ところで、日本を貿易立国だと思っていませんか。
実際、昔はモノ+サービスの合計の黒字が大きかった。
しかし、現在モノ+サービスの黒字幅が小さくなってきている。
サラリーマンで言えば、給料とかボーナスの収支が悪化したということです。

では今どうやって生計を立てているのかというと、昔得た収入を海外に送って、その利息とか配当金で生活をしている状態である。
モノ+サービスでなく所得収支の黒字が大きく、それで生活している状態である。
これは昔のイギリスみたいに利息や配当金で生きている状態で、成熟国家の様相になってきている。

[改訂新版]藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 (光文社新書)
藤巻 健史
光文社 (2012-03-16)
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