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田畑昇人のFXブログ

【書評】パタゴニア創業者の経営論~社員をサーフィンに行かせよう~

書評   

パタゴニア創業者の経営論~社員をサーフィンに行かせよう~

今回読んだ本「パタゴニア創業者の経営論~社員をサーフィンに行かせよう~」

社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論
イヴォン シュイナード
東洋経済新報社
売り上げランキング: 17,029

 

アウトドアブランド「パタゴニア」の経営理念が書かれた本です。

ビジネスの常識を覆す永続する企業の経営哲学。著名なクライマーであり、サーファー、カヤッカー、スキーヤー、鍛冶職人、環境保護主義者でもある、イヴォン・シュイナードが、百年後も存在するために、従来の常識に挑み、信頼できる新しいビジネスの形を世界に訴えかける会社“パタゴニア”の歴史と理念を語る。

パタゴニアとは、南米のチリとアルゼンチンをまたぐ、大自然の荒野地帯を指します。

実際に行ったことがあるのですが、大自然の前、僕は圧倒されました。

海外旅行で最も印象に残った場所でもあります。

パタゴニアの創業者、イヴォン・シュイナードも、この地に感銘を受けて、ブランドを設立したそうです。

そして、「パタゴニアは勤務時間中、いつでもサーフィンをしていい会社」として有名です。

サーフィンだけでなく、アウトドアスポーツ全般が許されています。

そこには、従業員の自立性を重んじる文化と、自然と触れ合って欲しいというイヴォン・シュイナードの想いが含まれています。

 

印象に残った部分

・序文

「社員をサーフィンに行かせよう」という精神は、すんなりと理解してもらえないかもしれない。
そのように言われても、「本当に行っていいのだろうか」「そんなに楽しそうな会社が本当にあるのだろうか」と思われるかもしれない。

私たちの会社で「社員をサーフィンに行かせよう」と言い出したのはずいぶん前のことだ。
創業メンバーのトム・フロストが共同経営者だった頃、彼がヒマラヤに三カ月くらい登山に行くと、その間は私が経営を見ていた。
逆に私が南米に半年間山登りに行くと、彼が会社を見てくれた。
その頃から、このフレーズは社内の「非公式な」ルールになっていた。

私たちの会社では、本当に社員はいつでもサーフィンにいっていいのだ。
もちろん、勤務時間中でもだ。平日の午前11時だろうが、午後2時だろうがかまわない。
いい波が来ているのに、サーフィンに出かけないほうがおかしい。

パタゴニアの本社が、カリフォルニア州ロサンゼルスから西に約100km、太平洋を望むベンチュラにあるのも、パタゴニア日本支社が神奈川県鎌倉市にあるのも、社員がサーフィンに行きやすい場所だからだ。

私が「社員をサーフィンに行かせよう」と言い出したのには、実はいくつか狙いがある。

第一は「責任感」だ。
私は、社員一人一人が責任を持って仕事をしてほしいと思っている。
いまからサーフィンに行ってもいいか、いつまでに仕事を終えなければならないかなどと、いちいち上司にお伺いを立てるようではいけない。
もしサーフィンに行くことで仕事が遅れたら、夜や週末に仕事をして、遅れを取り戻せばいい。
そんな判断を社員一人一人が自分でできるような組織を望んでいる。

第二は「効率性」だ。
自分が好きなことを思いっきりやれば、仕事もはかどる。
午後にいい波が来ると分かれば、サーフィンに出かけることを考える。
すると、その前の数時間の仕事はとても効率的になる。
例えば、あなたが旅行を計画したとすると、出発前の数日間は仕事をテキパキやるはずだ。
旅行中に同僚に迷惑をかけたくないこともあるだろう。
あるいは旅行を前に気分が高揚して仕事が進むのかもしれない。
その気分を日常的に味わえるのが、私たちの会社なのだ。
日本でもそうかもしれないが、机に座っていても、実は仕事をしていないビジネスマンは多い。
彼らはどこにも出かけない代わりに、仕事もあまりしない。
仕事をしているふりをしているだけだ。そこに生産性はない。

第三は「融通をきかせること」だ。
サーフィンでは「来週の土曜日の午後四時から」などと、前もって予定を組むことはできない。
その時間にいい波が来るかどうか分からないからだ。
もしあなたが真剣なサーファーやスキーヤーだったら、いい波が来たら、あるいはいい雪になったら、すぐに出かけられるように、常日頃から生活や仕事のスタイルをフレキシブルにしておかなければならない。

第四は「協調性」だ。
パタゴニアには、「私がサーフィンに行っている間に取引先から電話があると思うので、受けておいてほしい」と誰かが頼むと、「ああ、いいよ。楽しんでおいで」と誰もが言える雰囲気がある。
そのためには、誰がどういう仕事をやっているか、周囲の人が常に理解していなければならない。
一人の社員が仕事を抱え込むのではなく、周囲がお互いの仕事を知っていれば、誰かが病気になったとしても、あるいは子供が生まれて三カ月休んだとしても、お互いが助け合える。
お互いが信頼し合ってこそ、機能する仕組みだ。
だから、私たちの会社には、よくアメリカの会社に見られるパーティションは一切ない。
CEOや私の執務室も個室ではなく、誰もがいつでも自由に出入りできるようにしてある。
私はいつでも社員食堂で食事をとり、社員たちと仕事やスポーツの話をする。

第五の狙いは「真剣なアスリート」を多く会社に雇い入れ、彼らを引き止めることだ。
もし優秀なスキーヤーが入社すれば、ひと月はスキーに行きたいと言うだろう。
それを止めようとすると、毎日スキーができるスキーメーカーに転職してしまうかもしれない。
なぜ真剣なアスリートを多く雇いたいのか。
それは、私たちの会社は、アウトドア製品を開発・製造し、販売しているからだ。
自然やアウトドアスポーツについては、誰よりも深い経験と知識を持っていなければならない。
そのためには、より多くのプロフェッショナルを雇わなければならないのだ。

結局、「社員をサーフィンに行かせよう」という精神は、私たちの会社の「フレックスタイム」と「ジョブシェアリング」の考え方を具体化したものにほかならない。
この精神は、会社が従業員を信頼していないと成り立たない。
社員が会社の外にいる以上、どこかでさぼっているかもしれないからだ。
しかし、経営者がいちいちそれを心配していては成り立たない。
私たち経営陣は、仕事がいつも期日通りに終わり、きちんと成果をあげられることを信じているし、社員たちもその期待に応えてくれる。
お互いに信頼関係があるからこそ、この言葉が機能するのだ。

「社員をサーフィンに行かせよう」と言っている私自身、世界中の自然を渡り歩いている。
これを私なりにMBAと呼んでいる。
「経営学修士」ではなく、「Management By Absence(不在による経営)」だ。
いったん旅行に出ると、私は会社に一切電話しない。
そもそも携帯電話もパソコンも持って行かない。
もちろん、私の不在時に、彼らが下した判断を後で覆すことはない。
社員たちの判断を尊重したいからだ。
そうすることで、彼らの自主性がさらに高まるのだ。

最後に、私たちのビジネスで最も重要な使命について触れておきたい。
それは、「私たちの地球を守る」ことだ。

私たちの会社では、このことをなによりも優先している。
売上高より、利益よりもだ。

ほんの数年前まで地球温暖化について誰も耳を貸そうとしなかったが、いまでは多くの人や企業が耳を傾け始めた。
しかし、もう遅い。手遅れだ。
温暖化の加速度を少しでも緩めるための努力を、いますぐしなければならない。
石油価格の上昇はグローバル経済を揺さぶる。
今までのように、ニュージーランドの毛糸を香港でセーターに編み、アメリカで売ることは難しくなる。
おそらく十年以内には、セーターのコストの中で輸送費が最大になるだろう。
そうなると、グローバリズムは困難になる。ローカルエコノミーに戻るべきだ。
求めるべきは、スローエコノミーであり、スロー・ビジネスである。

 

・百年後も存在する経営

マハトマ・ガンジーの言葉にあるように、「世界を変えたいなら、自分自身が変わらなくてはならない」のだ。
政府を変えたければ、企業を変えなければならない。そして、企業を変えたければ、まずは消費者を変えなくてはならない。

ここでいう消費者とは、「ものを使って壊す、あるいは使い果たす人間、むさぼり食い、無駄に消費する人間」を指す。
世界中の人間がアメリカ人を同じ速度で消費すれば、地球が七つ必要になると言う。
店で買われた商品の90%が60~90日でゴミ箱行きになっている。
私達がもはや市民ではなく、消費者と呼ばれるようになったのも不思議はない。
消費者こそ、私達にぴったりの名称である。

従来型の企業すべてを改革することはできないが、パタゴニアにオーガニックコットンしか買わせないことはできるし、他の企業にオーガニックコットンを買うように促すこともできる。
また、オーガニック栽培された食物しかカフェテリアで提供しないという目標に向かって努力することもできる。
持続可能な方法で作られた製品への需要が高まれば、市場が変わって、企業はそれに反応するしかなくなり、やがて政府もあとに続くだろう。

典型的なアメリカンドリームは、ビジネスを起こしてこれをできるだけ早く育てて株式公開し、レジャーワールドのゴルフコースで隠居生活を楽しむことだ。
実際の製品は企業そのものであり、シャンプーを売ろうが地雷を売ろうが関係ない。

このような企業において、従業員教育、職場内託児所、汚染防止、快適な職場施設といったことへの長期的な投資は、短期的な帳簿においては、すべて負の要素になる。
企業が成長してまるまるした仔牛になったら、投資利益のために売り払われ、その資源や株式は通常ずたずたに引き裂かれて、ひいては家族的な絆も地域経済の長期的な健全性も失われてしまう。

もし、企業とはできるだけ早いうちに最高値の入札者に売りつけるべき製品だ、という考えを捨てたら、企業の今後の意思決定は大きく変わるだろう。
所有者も役員も、会社の方が自分たちよりも長生きするとなれば、短期の損益を超える責任があることを自覚するはずだ。

パタゴニアは決して完全には社会的な責任を果たせないだろう。
また、完全には持続可能なまったく環境に悪影響を与えない製品を作ることもできないだろう。
だが、そのための努力は惜しまない。

社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論
イヴォン シュイナード
東洋経済新報社
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